堤真一 山崎努

堤はそこでイギリス人の演出家デヴィッド・ルヴォーと出会う。ルヴォーは日本でも数多く公演を行い、俳優の信頼も厚い。ルヴォーの当時のホームグラウンドがベニサン・ピットだった。

「デヴィッドに言われたのは、『お客さんはお前なんか見に来てないんだ』ということでした。『お客さんは役と役の関係性を見に来ている、物語を見に来ているんであって、お前を見に来ているわけではない。だから会話をちゃんと成立させることに集中しろ』と言われた。『相手とどういう関係で、どういう思いでそれを伝えようとしているのかに集中しろ』と」

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「人間って群れて生きる、社会を作って生きるものですから、どうやって社会とうまく折り合いを付けていくかというのが、生涯のテーマだと思いますね。外へ出るのが好きな人でも、実はどこかで不安や恐怖といった不快なものがあって、それを乗り越えてやってるわけです。人間って、生きにくいものなんだ、生きていくというのは大変なことなんだと、僕はこの年になって思うんですね。その一つのパターンとして、モリカズ的な生き方というのが、僕にとってものすごく鮮烈だったんです」

山﨑は「人はみんな、不安定な中で生きている。自分が自分だと思い込んでいるものも、自分かどうか分からないしね」と続けた。役から役へさまざまな人物に憑依(ひょうい)してきた、俳優ならではの実感かもしれない。

 

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